プロトタイプと 最終製品 – 比較ポイント5つ
プロトタイプは、デザイナーが製品の外観を仕上げ、デザインを検証し、改善点を見つけるために構築されます。一方、最終製品は市場にリリースされる実装されたデザインのことをいいます。
プロトタイプも最終製品も、プロダクトデザインプロセスでよく聞く用語ですが、この2つの具体的な違いを探ってみましょう!
主なポイント:
- プロトタイプは、製品のデザインプロセスでの成果物であり、最終製品のイメージである。デザイナーはプロトタイプを使ってさまざまなアイデアを検証し、ユーザーやステークホルダーから製品についての意見を聞き、デベロッパーに何を作る必要があるかを示す。
- 最終製品は、市場に出せる状態の製品のことを指す。バックエンドとフロントエンドの設計があり、エンドユーザーが完全に使用できる状態。プロダクトデザイナーが作成、検証したプロダクトデザインに基づいてデベロッパーが最終製品を構築する。
- プロトタイプと最終製品の間には、 リソース、作成する理由、柔軟性、ライフサイクル、機能性のレベルなどの6つにおいての違いがある。
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プロトタイプとは
プロトタイプとは、デザインコンセプトを具体的またはインタラクティブに表現したものです。
プロトタイプが最終製品をシミュレーションすることで、デザイナーやステークホルダーは、機能性をテストして、デザイン上の決定を検証し、フィードバックを集めることができます。
洗練された最終製品に対して、プロトタイプは多くの場合、核となる機能や単一のユーザーフローにのみ焦点を当てた不完全なものであることから、インサイトやユーザーインタラクションに基づく反復や変更を手短にできます。
デザイナーがデザインプロセスのさまざまな段階で利用するプロトタイプには、以下のような種類があります:
- ペーパープロトタイプ:紙やホワイトボードに描くシンプルなワイヤーフレームで、ユーザーフローのテストや情報アーキテクチャの視覚化に最適。
- ワーキングプロトタイプ:データを扱い、ユーザーのアクションに反応するプロトタイプだが、完成した製品ではなく、進行中のもの。
- 機能的プロトタイプ:最終製品の外観を模倣したプロトタイプだがバックエンドのコードがない状態。
- インタラクティブプロトタイプ:クリック、スクロール、移動などのマイクロインタラクションが追加されたプロトタイプ。
最終製品とは
最終製品とは、市場に投入されるアプリやWebサイトのことであり、よく「最終製品」や「完成品」と呼ばれ、プロトタイプの最後の反復から派生します。
これは、製品デザインのプロセスから何度も繰り返されたデザイン、ユーザーからのフィードバック、そして厳密なテストの結果を表しています。
意図された機能が全て備わり、エンドユーザー体験のために最適化されたことで、この製品は、ターゲットとするユーザーによる発売と消費の準備が整った状態であるということになります。
プロトタイプ と 最終製品 の5つの主な違い
違い1:意図された目的
プロトタイプ:
- アイデアを具体的に、あるいはインタラクティブに表現する
- テストおよびフィードバック収集のツールとしての役割
- ステークホルダー、デザイナー、デベロッパー間のコミュニケーションの促進
- 本格的な開発を行う前に、デザイナーがデザインやユーザビリティの問題を特定し、修正できるようにする
- 開発にリソースを投入する前に、新製品の実現可能性を検討する
最終製品:
- エンドユーザーに完全で機能的なソリューションを提供する
- 製品のデザインプロセスにおけるデザインの決定、フィードバック、改良の実現を表す
- ユーザーのエンゲージメント向上や売上向上など、ビジネス目標の達成を目指す
- ターゲットユーザーのグループに合わせた、最適化されたエクスペリエンスの提供
違い2:調整への柔軟性
プロトタイプ:
- 迅速な変更と反復のためにデザインされている
- フィードバックのループが短くなり、デザイン要素のピボットや修正がしやすくなる
- 間違いやデザイン上の欠陥は予測され、リアルタイムで対処される
- 複数のデザインソリューションの探求とテストを重視
最終製品:
- 変更はより慎重に行われ、多くの場合、大規模なテストと検証が必要となる
- ユーザーからのフィードバック や 分析、バグ、開発のアップデートに基づく反復作業
- 調整は、より広範なシステムや関連機能に影響を及ぼす可能性がある
- 柔軟性はあるが、定義された製品のフレームワークの制約の範囲内での話
違い3:創造性に必要なリソース
プロトタイプ:
- 通常、必要なリソースや投資が少ない
- モックアップをサッと作成するために、入手しやすいツールやコンポーネントを活用することに重点を置く
- デザインツールで、変更と調整がより低コストで効率的になる
- 完全にコミットすることなく、費用対効果の高い実験が可能
最終製品:
- 時間的にも金銭的にも、より大きな投資が必要
- 高品質なコンポーネント、コーディング、リソースを使って、持ちの長さと拡張性を実現
- 改造や修正によって費用が増加する可能性がある
- 期待される長期的な収益と製品の安定性により、初期の高額なコストが正当化される
違い4:プロトタイプと最終製品のライフサイクル
プロトタイプ:
- 特定のプロジェクトにおけるテストや検証のための一時的なモデルとして機能する
- 頻繁に変更される可能性が高く、プロジェクトがリリースされれば破棄されるかもしれない
- 長期的な使用や実世界での挑戦に耐えるようには作られていない
最終製品:
- 長期的な実用性と運用を考慮したデザイン
- セキュリティの脆弱性やその他のプログラミング上の課題からの保護など、実世界での使用を想定して構築されている
- 定期的なアップデートとメンテナンスを受けるが、製品の核となる機能は維持される
- 新しいイテレーションがそれに取って代わるまで、つまり数カ月から数年間、その役割を果たすことが期待される
違い5:機能性のレベル
プロトタイプ:
- 主に主要機能をステークホルダーやユーザーに紹介する
- 完全な機能を備えていない場合があり、多くの場合、プレースホルダーやダミーのコンテンツが含まれている
- 視覚的またはインタラクティブな UI(ユーザーインターフェース)を模倣し、それによってフィードバックを集められるようになる
- 特定の要素やユーザーフローのテストに重点を置き、多くの UI や機能は除外される場合がある
最終製品:
- 意図した機能が全て統合されて完全に機能する
- 機能の信頼性を確保するために厳格な品質保証を実施
- エンドユーザーのエクスペリエンスに合わせ、機能が全てユーザーのニーズに合致するように調整されている
- 洗練されたインターフェース、シームレスなナビゲーション、最適化されたパフォーマンス
最終製品を作る前にプロトタイプが必要な理由
プロトタイプは、製品を成功に導くために重要な役割を果たすものであり、青写真のような役割を果たします。そしてユーザーに共感され、ビジネス目標を達成し、市場で際立つ製品を作るためにチームを導きます。
以下はその方法です:
- リスクの軽減: プロトタイプで、チームは大きなリソースを投入する前に製品のアイデアをテストすることができ、それによってコストのかかるミスを回避することができる。
- ユーザー中心設計: プロトタイプを使った早期のユーザーテストによってユーザーのニーズが明らかになり、最終製品が確実にユーザーの期待に応えられるようになる。
- フィードバックのループ: プロトタイプが反復的なフィードバックを促すことで、デザイナーは継続的に製品を改良し、完成させることができる。
- ステークホルダーの調整: デベロッパーから投資家まで、各々が画一的な理解を共有できるよう、製品ビジョンを具体的に示す役割を果たす。
- 開発の効率化: デベロッパーがより明確な全体像を把握することによって、やり取りが減り、効率的なコードが保証される。
プロトタイプから最終製品になるまで
以下のステップ・バイ・ステップのワークフローは、製品開発チームが研究からプロトタイプ、最終製品までどのように進めるかが示されています。
ステップ1:問題を理解する
- 市場における問題やニースを特定する
- 初期段階の市場調査を実施し、需要と潜在的なユーザーの関心を測る
ステップ2:ユーザーリサーチ
- ユーザーのインサイトを集めるための調査やインタビュー、観察を実施する
- ユーザーのニーズやペインポイント、要望を理解する
ステップ3:アイデア出し
- 潜在的なソリューションと機能のブレインストーミングをする
- 最初のアイデアをスケッチまたはワイヤーフレーム化する
ステップ4:プロトタイプをデザインする
- リサーチとアイデアに基づく、忠実度の低いプロトタイプを作成する
- UXPin のような専門的な UX デザインツールを使って、忠実度の低いインタラクティブなワイヤーフレームを作成し、アイデアを反復して改善する
- 忠実度の低いデザインを忠実度の高いプロトタイプに変換する
- ユーザーテストの前にプロトタイプを主要なステークホルダーと共有し、フィードバックを取り入れて改良する
ステップ5:プロトタイプでユーザーテストをする
- エンドユーザーを代表するユーザーテスト参加者を募集する
- テストユーザーにプロトタイプを操作させ、チームメンバーは彼らの行動を観察し、質問し、インサイトを集める
- フィードバックを分析し、改善点を特定する
ステップ6:デザインの反復
- データに基づいてプロトタイプを調整するために、インサイトを活用する
- 問題によっては、ステップ1に戻って新しい解決策を考えることが求められる
- デザインを改良しながら、忠実度の高いプロトタイプに移行する
ステップ7:技術的な実現可能性
- デザインプロセスを通じてエンジニアと協議する
- 技術的に達成可能で、資源効率に優れたデザインであることを確認する
ステップ8:デザインハンドオフ
- 最終デザインとプロトタイプをエンジニアと共有する
- ユーザーのペインポイントやソリューションの背景にあるアイデアを説明するための文書を含む
- 主要な文書には、スタイルガイド、コンポーネントとパターンの内訳とその状態、情報アーキテクチャ、(アイコン、SVG、メディアなどの)アセット、プロトタイプが含まれる
ステップ9:開発とリリース
- エンジニアは、開発プロセスを導くのにハンドオフ文書を使う
- インタラクティブなプロトタイプで、デベロッパーはインタラクション、アニメーション、トランジションを理解できるようになる
- デベロッパーは、Web、ネイティブアプリストアなど、さまざまなプラットフォームに変更を公開する
ステップ10:QA(品質保証)テスト
- 最終製品にバグや不具合、矛盾がないかテストする
- デザインチームは UX監査を実施し、最終製品がデザイン仕様を満たし、ユーザビリティの問題がないことを確認する
- チームは、最終製品が意図したとおりの外観と機能を備えていることを確認する
UXPinでインタラクティブなプロトタイプを作る
UXPin を使うと、デザイナーは最終的な製品体験を正確に表現するプロトタイプを作成できます。ベクターグラフィックスを生成する従来のデザインツールとは違って、UXPin は HTML、CSS、Javascript を裏でレンダリングするため、デザイナーはより忠実でインタラクティブなプロトタイプを作成できます。
また、UXPin には独自技術である『UXPin Merge』があり、完全な機能を持つReactコンポーネントでデザインすることができます。
画像ベースのデザインツールとコードベースのデザインツール
画像ベースのデザインツールは、コードコンポーネントがどのように見えるかを画像や視覚的に表現します。このようなモックアップは美的感覚に優れていますが、忠実度が低いため、デザイナーは複雑なインタラクティビティはともかく、基本的なユーザーインタラクションはほとんどテストすることができません。- 複雑なインタラクティビティは気にしないようにしましょう。
UXPin のようなコードベースのデザインツールは、フォーム要素のようなコンポーネントがインタラクティブであるため、より忠実で機能的です。
UXPinのフォームからテキスト入力をキャンバスにドラッグすると、ユーザーがデータを入力できる状態になります。それでデザイナーは、変数(バリアブル)を使ってその情報を取得し、プロトタイプの他の場所でそれを使うことで、画像ベースのツールではできないダイナミックなユーザー体験が生み出されます。
条件付きインタラクション と Expression
UXPin の条件付きインタラクション とExpressionを使って、プロトタイプをさらに進化させましょう。条件付きインタラクションでは、ユーザーやシステムのアクションに対して、「if-then」や「if-else」の条件を作成できます。
一方、Expressionでは、フォームバリデーション、計算コンポーネント、その他のJavascript のような機能によって、プロトタイプより複雑にします。
UXPin Mergeでより良い結果を
最終製品と見分けがつかないほどダイナミックで没入感のあるプロトタイプを作成してみませんか?
高度なプロトタイプを使用することで、テスト範囲を広げ、開発前にデザインを反復して正確なデータとインサイトを得ることができます。
デベロッパーと共有できる再利用可能なコンポーネントでプロトタイプをデザインするためのテクノロジーであるUXPin Mergeをぜひご利用ください。