ダッシュボード対データレポート – ユーザーにとってはどちらがいいのか?
データの最適な表現方法を考えようとするとき、多くのデザイナーは「ダッシュボードをデザインするのか、それともレポートのUI(ユーザーインターフェース)をデザインするのか?」と考えますが、製品開発やUXデザインにおけるすべてのことと同様、それはユーザーのニーズ次第です。
「ダッシュボード」と「レポート」の違いを理解することは、データ主導の意思決定を行うために適切なデータの可視化を行う上で不可欠です。粒度を重視する人もいれば、KPI(重要業績評価指標)のスナップショットを求める人もいます。
本記事では、ダッシュボード と「レポート」についてと、UIデザイナーがどちらかを優先する理由についてお話します。また、このようなUIがどのように異なるデータを視覚化するかを示す例もいくつかご紹介します。
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ダッシュボードとは
ダッシュボードとは、複数のデータソースまたはレポートを数値やグラフ、チャートで視覚化するUI(ユーザーインターフェース)で、通常は1画面に表示されますが、スクロールできるものもあります。さらに、ユーザーのような1つのデータセットを視覚化することも、複数のデータポイントをまとめて高度なビジネスパフォーマンスのスナップショットを作成することもできます。
ダッシュボードの利点
ダッシュボードの最大の利点は、大量のデータを1つの画面で可視化できる点です。それによってユーザーは、さらに調査すべき問題やうまくいったところをすぐに特定することができます。
例えば、ある営業担当者が、前月に比べて売上が20%増加していることに気づいたとします。それから、以下のように売上が大きく伸びた原因の究明ができます:
- 製品が一番売れた製品
- 特定のプロモーションが原因だったか否か
- 最も収益を上げたセールスチーム
リアルタイムのダッシュボードは、製造、物流、フルフィルメント、スポーツのライブ分析など、多くの産業においても極めて重要であり、ユーザーは、そのようなリアルタイム・ダッシュボードをモニタリングして、問題への対応や結果の予測を行うことができます。
ダッシュボードの例
バーリー・バレンディート氏によるDribbble上のこの売上ダッシュボードは、特定のデータセットテーマ(セールス)の優れた例であり、このダッシュボードには、その月の複数のデータセットが以下のように表示されています:
- 売上高
- 平均受注額
- コンバージョン率
- 最も好調な国
- 売れ筋商品
- 日次売上高の折れ線グラフ
Datapineの製造ダッシュボードの例では、エレクトロニクス企業の生産統計が表示され、多くのソースからのデータが集約されています。このような生産ダッシュボードでは、通常、データがリアルタイムで提供されるため、企業は問題に即座に対応することができます。ちなみに【クイック統計】セクションは、生産能力と注文量を比較できるため、管理者にとって特に重要なセクションです。
製造ダッシュボードでは、生産管理者に「売上」と「返品」に関するデータが提供されるので、ビジネスの他の部分で何が起こっているかに対応することができます。例えば、【ノートパソコンA10 460M】の売上に突然急増が見られた場合、部品の追加注文や、関連マシンが最適に動作するような予防措置を取ることができます。
ダッシュボードは、Outcrowd社のアクティビティトラッカーの例のように、B2C製品にも出てきます。このダッシュボードには、ユーザーの歩数、平均心拍数、歩数比較表、カロリー、睡眠が表示され、2つ目のダッシュボードでは、ユーザーが1日の目標に対する現在の進捗状況を確認することができます。
このような比較ダッシュボードは、ユーザーがパフォーマンスを追跡して目標やゴールの達成のために調整を行うことができるため、消費者や企業の多くのデジタル製品でよく使われています。
レポート とは
レポートは、特定の期間の包括的なデータセットであり、ダッシュボードよりも粒度が細かく、データを深く掘り下げて傾向や事象を特定することができます。
レポートには、データ表、グラフ、チャート、その他の可視化されたものを含んだ、1ページで済むものから数百ページに及ぶものもあり、例えば、売上報告書では、1週間の売上をグラフ化したものと、その下にすべての取引を表示した表が含まれることがあります。それによってアナリストは、チャートで異常値を特定し、表でデータを掘り下げて詳細な分析を行うことができます。
レポート の利点
レポートにより、ユーザーはデータをより深く理解して原因を特定することができ、アナリストは、セット内の異なるデータポイントに対してレポートを実行し、傾向、問題、機会を明らかにすることができます。
例えば、販売レポートには、商品、価格、合計金額、税、送料などの「取引に関するデータ」と、名前、住所、販売履歴などの「顧客に関するデータ」があり、アナリストは、この販売レポートをフィルタリングして分類することで以下のようなことがわかります:
- 製品/カテゴリー/ユーザーグループ別売上高
- 売れ筋商品/カテゴリー
- 平均注文額
- 最も好調な顧客の所在地(市、州、国)
- リピーター数
- よく使われる支払い方法
UXチームはこのデータを使って、顧客理解を深め、ユーザーペルソナやユーザージャーニーマップなどのUXアーティファクトを更新し、最終的に企業のビジネス目標に沿ったより良いユーザー体験を生み出すことができるのです。
レポート の例
Behanceのシャロン・カラリクカル氏によるこのレポートUIは、収益に関連するマーケティング活動の素晴らしい例です。ユーザーは上部にあるメトリクスを追加したり削除したりして、独自のレポートを作成することができます。
小さく可視化されたものは、以下のようなデータテーブルを要約します。ユーザーは、データ分析のために、日付範囲の変更やフィルタリング、表の並べ替えを行うことができ、レポートの共有や保存、エクスポートのオプションも選べます。
この Inflectra 社のレポート UIには、ソフトウェア開発プロジェクトの機能要件とシステム要件が表示されます。このレポートでは、ハイレベルなBI(ビジネスインテリジェンス)が表示され、ユーザーはドロップダウンを使って個々のタスクに掘り下げることができます。また、複数のツールを使ったデータのフィルタリングや分類、操作もできます。
このようなレポートは、プロジェクト管理ソフトウェアでは一般的で、ユーザーはプロジェクトや製品ロードマップのモニタリングができます。
イスマイル・ホセイン氏の乳製品在庫レポートは、一見するとダッシュボードのように見えるレポートのいい例です。この種のレポートは多くの人を混乱させるので、ダッシュボードとレポートを同じ意味で使っています。
彼のUIデザインは、ユーザーが在庫データにアクセスする方法と理由に答えているため、「レポート」に分類されます。ちなみにダッシュボードであれば、各メトリクスの背後にあるすべてのデータを見ることはできません。
イスマイルのモックアップはコンセプトなので、すべてのデータが一致するわけではありませんが、これによってダッシュボードとレポートがどのように混同されるかがよくわかります。製品がもっとたくさんあれば、在庫状況はユーザーがデータをすべて可視化できるようにスクロールできるようになるでしょう。
ダッシュボードと レポート
デザイナーは、データセットがダッシュボードとレポートのどちらを必要とするかを判断するのに、ユーザーデータのニーズがわかっていなければいけません。大抵の場合、ユーザーは両方必要とするでしょうが、ニーズを理解することで、それに応じたUIやメニューの優先順位を決めることができます。
ダッシュボードとレポートの主な違いは何かというと、まず簡単に考えてみましょう:
- ダッシュボードは「何」について:「今月の売上や収益は何?」
- レポートは「なぜ」と「どうして」について:「どのようにしてその数字を達成したのか」、「なぜ目標未達なのか」
ダッシュボードは消化しやすく、レポートはより詳細で、ユーザーはデータの分析に多くの時間を費やす必要があります。どちらが良いということはなく、ダッシュボードとレポートの選択は、ユーザーと彼らがどのようにデータを視覚化したいかによります。
ダッシュボードを使うタイミング
ダッシュボードのデザインは、データをまとめるのに適しており、できればデスクトップの単一の画面内に表示されることが望ましく、現状や、組織が順調に目標達成に向かっているのかがパッと見てわかるので、経営幹部や管理職のステークホルダーに好まれます。
ダッシュボードUIは、自動車用UIやアクティビティトラッカーや、銀行アプリやSNSアプリなどのようなB2C製品にも適しており、そのようなダッシュボードで、ユーザーは活動のスナップショットが得られ、レポート、明細、取引、その他のデータ・リストを使ってさらに分析することができます。
レポート を使うタイミング
レポート は、データを調査・分析したいユーザーに最適であり、ビジネスアナリストやデータサイエンティスト、マーケティング担当者、財務チーム、チームリーダーは皆、粒度の大きさを重視するビジネスユーザーです。
彼らはステークホルダーへの調査結果の提示や、パフォーマンスの測定、さらに戦略の提案や意思決定の指針とすることができるように、現状やそれに至る理由を正確に把握しておきたいのです。
UXPin Mergeを使った生データの可視化
画像ベースのデザインツールでダッシュボードやレポートのプロトタイプを作成するのは限界があり、デザイナーは有意義で正確な結果を得ようと奮闘しています。
グラフ、チャート、データテーブルなどの可視化されるものが機能しなければ、ユーザビリティの参加者やステークホルダーは、最終製品のようにプロトタイプを操作することができません。デザイナーは、UXエンジニアやフロントエンドデベロッパーにコードプロトタイプの作成を依頼しなければなりませんが、これは時間とリソースを消費するプロセスでなのです。
UXPin Mergeがあれば、デザイナーは完全に機能するデータコンポーネントとテンプレートをインポートして、最終製品のような外観と感触のプロトタイプを作成することができます。デザインチームは、そのようなデータコンポーネントに実際のデータを追加したり、イフト(IFTTT)経由でAPIを使って、生データのプロトタイプを行うことができます。
ダッシュボード やレポートのプロトタイプは一つの課題ですが、複雑なデータを扱うデザイナーとエンジニアの連携は、まったく別の課題です。
UXPin Merge は、デザインと開発の間のギャップを埋める信頼できる唯一の情報源(Single source of truth)であるレポジトリでホストされている同じコンポーネント ライブラリを使うため、デザイナーとエンジニアの間のスムーズな連携を促します。「ダッシュボード」と「レポート」についてと、UIデザイナーがどちらかを優先する理由についてお話します。
Mergeは、エンジニアにすでにコンポーネントがあるため、デザインハンドオフのプロセスが効率化されます。コンポーネント ライブラリを使って、デザイン’チームのプロトタイプをコピーするのと同じくらい簡単です。それによってより少ない摩擦で、市場投入までの時間が短縮されます。
PayPal は 、内部製品のデザイン、プロトタイプ作成、およびテストをMerge を使って行っており、主にダッシュボードとレポートを特徴としています。製品チームは 1 ページの UI を 10 分未満で構築することができ、経験豊富なデザイナーが一般的な画像ベースのデザイン ツールを使用していたときの 8 倍の速さで構築できます。
Merge が PayPal のような多国籍の巨大企業でこのような結果を達成できたのであれば、自身のデザイン業務やプロセスの拡張のために何ができるかを想像してみてください。
この革新的なUXデザイン技術の詳細とアクセスリクエスト方法については、Mergeのページをぜひご覧ください。